暴走老人・・・

仕事がピークゆえ、しばらくかけず。

リビアの騒乱。

カダフィ大佐のわかりやすい言動で気がついた。

中東革命をひとことでいうと「暴走老人」。

藤原智美氏の著作だ。

暴走老人! (文春文庫)

暴走老人! (文春文庫)

ふんべつのあるはずの老人がキレる。

まさにその展開。

なぜそんなことになったか。

上記の著作でいうと、時間、空間の概念がおどろくほど激変したこと。

そのため、長い時間をかけて蓄積してきた老人の知恵が通用しない。

そして適応障害をおこした老人が牙をむく。

カダフィ大佐の言動にみられる「老人」を立てる心。

それが当たり前だった。

だからリビアは選挙をしない。

議員は交代制。

長老が重んじられる。
リビアでなくても、ここ数十年の中東ではそうだった。

若者は長老に決定をまかせて順番をまてばよかった。
長老は若者のことも考えて、蓄積した知恵で判断する。

長老にものをいいたいときはどうするか。
私が知る常識。
直にいうのは「非常識」。
長老と同レベルの長老に相談し、その長老に伝えていただく。

カダフィ大佐は長老たちの
いわば「自分のビジョンを形にできる天草四郎」だった。

カダフィ大佐リビアのビジョン(理念)。
政治的実務は長老たち。
長老たちのなかでもカダフィ大佐よりの人が
権力をもちやすいということはある。

重要な実務は長老が決めて、
カダフィ大佐はビジョンに照らし合わせて、
確認してから発表する、いわばイメージキャラクター。

だからこそ、27歳の未熟な若さから
41年間、権力を維持できたのだ。

ところが。

変化した時間と空間。
長老の意思決定では時代に「間に合わなくなった」。
長老が耳をかたむけるのを待てなくなった。
順番がまわってくるのを待てなくなった。
問題解決のスピード。それが根本だ。

若者が長老にたてむかうなどありえない「非常識」だった。
それはジェネレーションギャップなんて甘い言葉ではない。
ジェネレーションショックといってもいい。

若者たちを「悪魔」と呼ぶ。
まさにそう感じてしまうほどの「非常識」。

われわれは長老制度が崩壊していくさまを今目撃している。