「トトメス三世はハトシェプストの弟か?」Tweetより

【本日の考え事 その1】さて、日本の貴種信仰、頼朝や為朝の話を語るのも興味深いが、本題のハトシェプスト&トトメス三世の話にはいる。大学時代の卒業論文のテーマはふたつあった。「トトメス三世はハトシェプストの弟か甥か」、「ハトシェプストは平和主義だったのか」

【本日の考え事 その2】「トトメス三世はハトシェプストの弟か甥か」簡単なようで実は難しい。今日のメインテーマだ。「ハトシェプストは平和主義だったのか」これはその神話に内在する「FTMは頑張っても男にはなれないよ〜」という声のアンチセオリー。結論は「平和主義ではないが戦略が違う」


【本日の考え事 その3】そもそも「トトメス三世は俺の弟説」「ハトシェプストの戦うFTM説」のどちらも日本人にとって「当たり前」なんだが、西洋的な考えでは「あり得なかった」だから、ことあるごとにハトシェプストは女だから女でしかあり得ないを協調し続けた。


【本日の考え事 その4】優秀な為政者としての姉と弟二人の三人兄弟。中の弟は生命力が弱く、死と隣り合わせだ。下の弟は姉に立ち向かう反逆児。最後に天下を取るのは下の弟。何処かで聞いた神話ではないか?そう、日本神話のアマテラス、ツクヨミスサノオの三人兄弟である。


【本日の考え事 その5】ところがその「姉、弟、弟」のモチーフは世界標準で人類の魂に刻まれたメタモデルになっている気がする。そして古代エジプトの女王とは?のメタモデルは。そうローマに立ち向かったエジプト帝国の女王、クレオパトラ七世。欧米の研究者の女王観はそれにひきずられがちだ。


【本日の考え事 その6】クレオパトラ七世も「姉、弟、弟」だ。正確には姉ふたりと妹ひとりがいるが、基本はそうだ。ハトシェプストも兄や妹がいるが、早世したためやはり「姉、弟、弟」である。その「姉、弟、弟」モデルが古代エジプトの家族観のために考古学的に混乱したのだ。


【本日の考え事 その7】私の知るハトシェプストの物語は故酒井傳六氏の翻訳したオットー ノイバード氏の「王家の谷」である。その物語はまさに「姉、弟、弟」モデルで姉は中の弟と結婚、トトメス二世。が、下の弟=トトメス三世は神官になった。最終的に姉を殺し、ファラオになったのはトトメス三世

王家の谷 (教養選書 8)

王家の谷 (教養選書 8)


【本日の考え事 その8】「弟による姉殺し」そんな物語になった大きな理由はデルエルバハリのハトシェプスト葬祭殿のハトシェプスト像の破壊と碑文など考古学的な資料の内容である。ハトシェプストとトトメス三世の関係が姉と弟のようにかかれていたらしい。その後伯母と甥といわれる。


【本日の考え事 その9】近年ではそこにふれずに娘婿といわれる場合もあるが、そもそも娘婿かも不明。トトメス三世の妻、ハトシェプスト二世も謎の存在。母がアメンの女神官であるのはわかるが。もしやハトシェプストの三女?つまりセンムトとの子という創作ネタになる。


【本日の考え事 その10】トトメス三世弟説のほかのシナリオは、ハトシェプスト、トトメス二世、トトメス三世の年齢差である。酒井氏の「古代女王ものがたり」によるトトメス二世死亡時に23歳、20歳、8歳。これは山岸凉子の漫画でも15歳、12歳。可能性はなくはないが無理がありすぎる。
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【本日の考え事 その11】強引にリアリティのあるつじつま合わせをするとトトメス二世の側室イシス、トトメス三世がトトメス一世からの贈り物とする。大人の女性の性教育はよくある。そのときにトトメス三世がいて〜みないな。崇徳院みたいだなあ。DNA鑑定はどうだったんだろう。公開して欲しい。

トトメス三世の墓の中。一緒にいるのが母。結構こういうシーンがある。

【本日の考え事 その12】ハトシェプストの権力欲を牽制するためアメン神の力で二世はトトメス三世を後継者に決めたというが定かではない。トトメス三世の父は一世か二世か。カイロ博物館にイシスの像があるが調べたら「トトメス三世の母」という記録しかなかった。トトメス三世が母のために立てた。


Ancient Egypt and Archaeology Web Site - Black granite statue of Isis, mother of Thutmose III

【本日の考え事 その13】トトメス三世の墓の中にも母と連れ添う姿がある。しかし、父への言及はない。ある種のタブーだったのかも。平清盛の父が天皇説があるのと同様に。それを考慮してもトトメス三世はハトシェプストの「弟」だろう。実際はどうであれ弟として扱ったのは真実かもしれない。