映画「ゲゲゲの鬼太郎」


映画「ゲゲゲの鬼太郎」公式サイト
http://www.gegege.jp/




昨年父の仕事で境港にいってからずっと楽しみにしていた4月28日ロードショーの「ゲゲゲの鬼太郎」をみにいく。


久しぶりにテレビを見るようになったのもそれ。


一問一答の第三位がゲゲゲの鬼太郎。元妖怪、心霊博士。20年前のことだけど。


さて見終わって感想。


いわゆるアニメでみる10歳のませガキの鬼太郎ではなくて高校生ぐらいの多感な青年鬼太郎。


鬼太郎役がウエンツ瑛士というかなりイケメンのエキゾチックな俳優であったためか、もちろん脚本の関係もあるだろう、他のブログ等で書かれている「笑えた」「楽しかった」「おもしろかった」という感想と違って、胸をぎゅっとしめつけられるようなピュアさ、せつなさのほうがさとしの印象に残った。


人間のはかなさ。おろかさ。よわさ。かなしさ。もろさ。
20年前にさとしが理想としていた、「人間と妖怪たちが平和に共存して生きていける社会」。
そんな世界が本当にくる日がくるのだろうか。
そんな世界が存在していれば「障害」ということばはなにも意味をもたない。


350歳という設定。隻眼ではないのは放送コードかなにががあるのか。一般的にこういう異世界には隻眼と霊性というのは不可欠なもの。目のある鬼太郎には違和感が残るが。僕は五体満足の人間だけで構成される世界は好きではない。子供のとき、五体満足の人間だけで構成されるテレビをみるたびに自分が「異端」であることをおもいしらされてひどくつらかったから。自分は本当はいてはいけない人間なんだと思ったんだな・・・。社会に必要とされていない、いてもいなくても変わらない、いるほうが逆に足手まといで迷惑?・・・みたいな。だから「ゲゲゲの鬼太郎」には子供時代のメンタル面で相当救われているんだけど。それを反映してさとしの漫画は身体に傷持つキャラクターがあまりに多かった。それのほうが逆に「かっこいい」という意識があるんだな。くわえて「恋愛」に対するハンディキャップ。だからこそ時代の流れにのりきれなくて漫画家志望をざせつしてしまったのだが。


ラストシーンは「目玉おやじのばか」とおもうぐらいさびしく、ものがなしい展開になった。みていてすごくつらかった。なぜ…というのは想像していただくとして。たぶん同じシーンをみても同じようにはさとしと同じようには感じないだろうから。


かねてから目玉おやじが成人男性モードだったときの恋愛・ロマンスに興味があるのだが、鬼太郎の母岩子さんとのことがおやじ自身がトラウマになっているな。でもちょっと息子にたいして過保護すぎ。やりすぎだと思ったなあ。さとし想像ではたぶんおやじは若いころかなりもてていろんな関係がありそう。しかし病気になってから本当に愛してくれたのは岩子さん、という展開。


たしかに人間と妖怪双方のDNAをもつ人は日本の歴史上めずらしくない。阿部清明なんかはその典型だろう。雪女の話もそうだろう。たぶん種としては人間も妖怪も同じものをもつ場合があるのでは?と思う。もっとも人間「男」、妖怪「女」の場合は人間として「完パス」して「埋没」していれば幸せに暮らせるし、その間の子供としてひどく優秀な人物が生まれる。しかしひとたび「リード」「アウティング」がおきれば一緒には暮らせない。


問題は人間「女」、妖怪「男」の場合、だ。目玉おやじと鬼太郎の場合はそこにハンディキャップがある。この場合人間「女」が死亡したり、生きていても発狂したりするパターンが圧倒的に多いのだ。子供は男の「妖怪性」をひきついでしまうのか、死産か障害をもつか、「異形」のものとして生まれることが多い。臨月で岩子さんが死んでしまったのもその影響が考えられる。「子孫をどうしても残したい」気持ちが強くあっただろうが、そりゃくやんでもくやみきれないだろうな…目玉おやじ。だから過保護になるか。


鬼太郎が「異形」でないのはたぶん目玉おやじが「イケメン人間型妖怪」であったことと、岩子さんが100%人間ではない=祖先に妖怪のDNAをもつ?ため?とか。


さとしの勝手な考察なのでうのみにしないように(笑)。


この関係はあらゆる障害者たちのパートナーシップに似ている…と思う。


ちなみに妖怪にも「男」「女」の二元性がある。じゃあトランスジェンダー妖怪はいるのか?というと「いる」。


大禿(おおかむろ)だ。「女の子」の妖怪、と書かれていて、長いことすごくなぞであった。鳥山石燕の「今昔画図続百鬼夜 巻之下 明」によると「女の子」といってもこれ、生物学的女性の妖怪ではない。生物学的男性、つまりMTFトランスジェンダーなのだ。大人になっても禿(かむろ)だということらしい。おおかむろがなまって「おかま」、という説もある。たしかにHPを検索するとそれを象徴するようにその「女の子」の着物に菊をあしらっている。


たぶんその手の話はもっと妖怪研究をすると出てくると思う。


鬼太郎映画、みてよかった。





写真 さとしがいつもつれている目玉おやじ(携帯TEL版。よくこんな小さな携帯電話開発したもんだ。。。)

境港で買えます。逆にいうと境港でしか買えません。