年末年始 その5 ダフシュール・サッカーラ

やっと内容が現在に追いついた…。

友人滞在の4日目。最終日にピラミッド観光を組んでいた。

ピラミッド観光の一手段として「ヘルワンからタクシーをチャーターして回る」という手段がある。
これだとダウンタウン出発の半額ぐらいでピラミッド観光ができる可能性がある。
なぜかというとヘルワンの西岸はメンフィス。エジプトの古都である。

Google Map参照。5kmサイズに。
21番の道路、番号のの東側にヘルワンがみえるだろう。
そのナイル川西岸をみてほしい。
そこにサッカーラ、バドルシェーン(メンフィス)がある。
つまりそういう位置関係なのである。
ちなみにギザの三大ピラミッドは10番の番号のすぐそばにある。

大きな地図で見る


だが、リスクもある。
一番のリスクは廉価で観光を請け負ってくれる人だとアラビア語しかできない可能性がある。
しかもこれはあとづけで理解したことであるが、複雑な観光業界のクリアの仕方をしらない場合がある。

「時間がない」ということもあり、ピラミッドツアーはベニス細川ホテルにお願いすることにした。

ベニス細川ホテルのツアーページ
http://www.venicehosokawaya.com/tours.htm

ダフシュールをふくめたツアーは40$。
しかし私はそこにMaadiのカルフールセンターにも最後にいってもらうように依頼し、上乗せ10$。
計50$、2名。

これには入場料、チップ代は含まれない。
チップ代というのが重要なポイントになるのだが…。これは後述する。

8時待ち合わせ。そして出発してピラミッドエリアへ。
サラーフ・サレーム通りを通る。

アズハル公園を通過。
ガーマ・ムハンマドアリが見える。
そしてイッサイイダ・ナフィーサのモスク。
ナフィーサは預言者ムハンマドの子孫にあたる。
ナイル川をこえてアル−ハラム通りへいくのがギザ行きへの定番であるが…。
サーレフ・サレーム通りをそのまま南下。
途中エジプト国鉄の姿が見える。

ダフシュール
ピラミッド観光はこれで4回目。だがダフシュールは一度もいったことがない。
なぜなら1995年、96年当時はダフシュールは軍事施設のなかにあったからだ。
今でも軍事施設のなかであるが、観光・考古学研究用に解放された。

私が大学にいる間に研究所で「ダフシュール担当の考古学班」ができたころか。

古王国時代〜中王国時代にかけてのピラミッドが多い。
が観光的なメインは第4王朝のスネフル王のピラミッド。

Dahshur
From Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Dahshur

屈折ピラミッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%88%E6%8A%98%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89

赤いピラミッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%84%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89

タクシーの運転手さんがいう。
「観光を円滑にするためのチップ代がいる。前もってくれないか。」

一瞬「え?」となる。

「タクシーの駐車代や便宜を図ってもらうためのお金だ、一箇所5ポンド〜からかかる。大体全部で6箇所だから30LEぐらいかな」
時間優先ということで払う。

友人がチケット売り場から戻ってくる。
友人:「通常の入場料のほかにタクシーの入場料もかかる。それにここ、【ダフシュール】だ。」
伊東:「ええ?」>経験者が何をいっているんだか…(まぬけ)

チケット30LE、タクシーチケット2LE。

運転手さんが係員に5LE渡す。タクシーにのって中に入る。

赤ピラミッドの目の前に。
チケット売り場から2キロ歩くと聞いていたが。

あれ???あれれ???。あ、そういうことか。

この運転手さん、観光メインで顔が利くんだ。
係員にみせたのは写真つきのカードは「観光用の許可証」だろう。
だけど顔をきかせて便宜を図ってもらう代わりに…というわけか。
それが彼のビジネスの「売り」なんだ。

赤ピラミッドに入る。

入り方なんだが、えびのように後ろ向きで降りたほうが、非常におりやすい。
みんなに伝えようとしたが、うまくつたわらず悪いことをした。
「後ろ向きにおりたほうが楽だよ」とどういえば伝わったのだろう…。


赤ピラミッド。


ピラミッドで有名な重力軽減の間。


階段を上ると…


玄室へ。


赤ピラミッドからみた風景。奥の緑がチケット売り場。



車の数も少ない。

奥には屈折ピラミッド。
サッカーラからもみえる。

残念なことにピラミッド内に落書きが。
新しいもので2007年。
幸いかな日本語はみあたらなかったが、どうしてこういうことをするのだろう。

■サッカーラ
サッカーラへ。サッカーラは2回目。
最初にいったときは丸一日かけてじっくり見た。
ジェセル王のピラミッド。テティ王のピラミッド。マスタバ群とセラペウム。90年代はセラペウムは内部に入れた。
当時はイムホテプ博物館がなかったのでそれがはじめて。

テティ王に関しては母、女王シェシェティの墓が2008年秋に発見されている。

■シェシェティ女王のニュース
・National Geographic News
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=78602418

・AFP
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2555891/3664962

これらがすべてセットになって60LE。タクシー代もあった(2LEだったか?忘れた)
まずイムホテプ博物館へ。本当に小さな博物館なのだけど、テーマがはっきりとまとまって見やすかった。

イムホテプとはまあ…レオナルド・ダビンチみたいな人?
■イムホテプ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%97

手塚治か石森章太郎の漫画でイムホテプとジェセル王の王女との悲恋物語を子供のときよんだ覚えが。
ジェセル王のいう「永遠の命の研究」をやるイムホテプに彼と相思相愛の王女が自らの体を研究用に差し出す(つまり生きたまま解剖!)んだ。それでミイラづくりの基礎が確立したという物語。

知っている人いるのかなあ。

彼の名を冠した博物館にサッカーラで発掘されたものが展示されている。

有名なジェセル王のピラミッド。いわゆる階段ピラミッド。
ここのうりはいわゆるピラミッド・コンプレックスというものがよくわかることだ。
ピラミッド・コンプレックスはカフラー王のピラミッドにもあるが、こちらは後述するように【変形版】なのでステレオタイプを理解しようとおもったら、ここが一番にいい。

階段ピラミッド
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%8E%E6%AE%B5%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89

Pyramid of Djoser
From Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Pyramid_of_Djoser

※英語版にはほかの神殿の付属物の写真もある。

つまりピラミッドというのはピラミッド単体ではないのだ。
ピラミッドを祭るよ周囲に神殿施設があるのだ。

川から陸にあがるところに「河岸神殿」。
内部の回廊を通ってメインの神殿へ。
その向こう側にピラミッドが。
このつくり、日本の神殿、特に奈良の神殿に似ていると思う。

私個人はピラミッドは王の墓であると同時に「山」をつくりたかったのでは?と思っている。

日本の神殿は本殿・拝殿となっている。本殿の向こうに山を祭っていることが多い。
日本には山が多いためピラミッドをつくる必要がなかったともいわれる。
その代わり古神道、つまり縄文時代からの神道では山や岩をご神体としてまつり、必要なときに祈祷施設を作った。
この形は今も地鎮祭の形に残っている。

やがて弥生時代に恒久的な祭祀施設として現在の神殿につながる神社建築が始まった。
それをシステムとしてルール化したのが平安時代の「延喜式」であり、神道の作法・形はここのソースとなっている。

たとえば奈良県立図書館情報館でひっぱった春日神社の境内図。

トップページ > 絵図展示ギャラリー > 神社 > 春日神社境内図
http://www.library.pref.nara.jp/gallery/ezu/jinjya/jinjya002/index.html

春日山をピラミッドと見立てて…ほらね。

■Tour Egypt!
http://www.touregypt.net/
An Overview of Egypt Pyramids
http://www.touregypt.net/featurestories/pyramidoverview.htm
A typical Pyramid Complex in Egyptを参照

図版資料がなかなかないっす…(汗)

ということでそんな解説をしながら…とはいってもたいしたことしゃべってはいないが…。


遠景にギザのピラミッドがみえる。