元祖那智黒硯 山口光峯堂

◆ 元祖那智黒硯 山口光峯堂
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土砂降りのなか、わざわざ那智山へいこうなどどいう酔狂な人間はおらず、那智山駐車場についたときには私ひとりだった。


いつもは那智の滝、別宮飛瀧神社からお参りするのだが、今回は久しぶりに表参道からまわってみようと思った。
いつもはとおりすぎるだけの参道沿いの道をウインドショッピング?しながら登っていく。

※あやしいマネキン首のあるのもご愛嬌。


山口光峯堂で足をとめる。

有名なすずりやふくろう、かえるの置物。


「みやげにかってかえろうかな…しかし…」と財布の中と相談する。


「『石』には本物と偽者があるよ。」
山口光峯堂の店主さん(二代目 山口光峯氏)がが説明してくれる。


本物が「那智黒石」、
樹脂をかためて黒く塗ったものなどを「那智石」と表記しているそうだ。
本物と偽者の見分け方を教えてくれる。


最近は海外の安いものがはいってきて、ごちゃごちゃにみやげもの屋においてある。
数百円でかえる安いものはその偽者だ。


「すずりは必ずためし刷りしてから、かってね。相性もあるから」


ためしに見本のすずりでためし刷りをさせていただくと…。


感動するようななめらかなすり心地にびっくり。
今まで経験したことがない。

※試しずりしたすずり

すずりはほしいと思っていた。
私は書道の授業が嫌いだった。しかし、日本文化を考えるに「書」ははずせない。
けれども日常の忙しさにながされてなかなか行動を起こすことがない。
大量生産した質の良くない安い道具を子どもに買わせて、無理やりやらせるから書道が嫌いになってしまうのだという。その通りかもしれない。


書道が好きになるか、どうか。
「道具を使う楽しみがでるか、どうか」もあるとの話。
書だけではない、絵を描くのも面白くなるという。
昔筆ペンで似顔絵を書いて300円〜500円で売っていた時代がある。
それをきちんとすった墨で書いたらどうなるのだろう。

今度来たときはすずりを買おう。
予算は1万円用意しておけば、それなりのものが買える。


那智黒石は三重県熊野市神川町に算出する天然資源だ。
なので、年間の採石量が決まっているとのこと。
「必要なものを必要なだけしかとらない」


「価値と値段を意識して買う」
「安けりゃ、いい」という風潮で産業・技術がつぶれていく。
そんな時代が終わりをつげるのはいつの時代だろう。


那智黒石


ここでしか手にはいらない、ヤタガラスの置物をGET。1500円。