わけありディスカウントはやめよう その1

後日連載にするつもりであるが、ここんとことある起業を考えて実践して
とんでもないさわぎとなっていた。


もえつきて体調不良に悩まされていた。


類友とはよくゆったもので、友人の一人もとんでもないことになっていた。


てな話を時間をみては友人と話していたのだが…。


お互い原因のひとつが同じところにあったので、OUTPUT。



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彼の勤務先、塾なのだが、
いわゆるモンスターたちの巣窟になっている模様。


無理難題・クレーム・過剰要求の宝庫でスタッフともども疲弊してしまっていた。


で、「なんでやねん」という話をしたのだが、
ひとつには「月謝が相場より安すぎるのでは?」という結論になった。


なんで安いといけないのか。
一瞬「おや?」とおもう話かもしれない。


要はこういうことだ。


なんで相場より安くするのか?
「理由=わけあり」だからだ。


ようするにたとえば「新規立ち上げ」ということもある。
施設・設備・その他サービスのありかたなど試行錯誤な部分もある。
そしてそれをうまくうめられるといいのだが、そうはいかない現実もある。

オーナーは塾経営は未経験・未知識。
教育学をおさめてはいるが、経験にとぼしい。
とある企業の経営者。
ゆえに専業の塾長ではない。


でも客はほしい。
だから、相場より安くした。


だが、その発想自体があやまりである。


安いだけで飛びつく人、というのは「ものの価値が理解できない」お客様が多い。
さらにほしいサービスに適正な価格が払えないからというのもある。


だが、その分サービスの質がさがる、ということは考慮しない。


さらに、適正な価格が払えないということはたとえば5000円だったとしても
そのお客様にとってはものすごく貴重な5000円になってしまう。


月の収入が30万の人であれば、60分の1だが、
10万の人だと20分の1である。
さらに日本では特定の地域をのぞいて定価の文化なので、
10万の人にとって5000円はものすごい大金となる。


そうすると発想するのはスーパーの「つめ放題」と同じである。
言い方をかえれば10万の収入しかない人は
10万の収入をベースに価値判断をする。


この5000円を目いっぱい使ってほしいサービスをもらおうとする。
だから無理難題・クレーム・過剰要求が発生する。


考えてもみよ、収入の20分の1を使うのだ。
ちょっとしたおためしお遊び価格とは決していえない。


ところが、提供する側を考えてみよう。


たとえば大量仕入れ・大量販売によるいわゆる華僑的商売のやり方であれば、
5000円でもサービスをまわせるかもしれない。
利益をだせるかもしれない。


だが、それをやるためには商品の大量生産ができないとダメだ。


大量生産ができないものがある。


そのひとつが塾のサービスだ。


もちろん最初のプランは生徒を集めて、
何人かにまとめて講師をつける予定だった。


だが、実際にふたをあけてみたら個々の生徒に
個性・差異がありすぎてひとつのクラスでの指導は無理だった。

友人は生徒のかかえるハンデのためのマンツーマン指導もしている。
さらに安いところにとびつく家庭というのはやはり「わけあり」である。


「わけあり」価格で提供したら、「わけあり」のお客様が集まってくる。
ほかの塾を退学になった、受け入れてもらえなかった「わけあり」のお客様たち。
特に手作りのサービスには手作りに対する期待がある。


こうした「手作り」を期待する
「わけあり」ユーザーを満足させるサービス提供にはマンパワーがいる。
マンパワーが必要なものというのは薄利多売ができないのだ。
マンパワーを確保するには人件費がいる。
「わけあり」価格で提供しているから人件費も「わけあり」価格になる。
すると人材も「わけあり」人材しかこない。


きけばコンビニや飲食店バイトよりも安い。
その安い範囲の仕事をすればいいかというとそうではなく、
目いっぱいの過重労働となる。


なんとか生徒がふえればふえるほど、経営は赤字に転落していく。
サービスの質も落ちていく。
まさに「安かろう、悪かろう」状態だ。
「安かろう、悪かろう」ではお客様は許さない。
いきおいクレームは増える。
比例してスタッフの負担も増える。


この状態をぬけるには、塾のブランド、スタンスをまず確立するしかない。
そしてそれを元に「できる/できない」をきりわけてお客様に説明する。
納得いかなければ離れる。納得すればユーザになってくれる。


こういう形でブランドを確立して、見合った適正価格を設定し、
お客様に選んでいただくという発想で経営することだ。


なんでもかんでも「お客様がほしいから」と
はじめから「わけあり」価格で提供してはいずれ破綻するだろう。


日本では「適正価格」という価値観に乏しい。
たとえ大手塾が1万2000円、この塾が5000円としても、
そこにサービスの格差は起きているとはこの島に住む人は考えない。
サービスは平等に同質のものが提供されるべきとおもっているからだ。

また、価格の背景を考える訓練もされている人は少ない。
安い値段=人件費が削減されている、もしくは人材もわけありとは考えないのだ。


つまりわけありディスカウントはなにもいいわけにもならず、
かえっていろいろなストレスをかかえる原因となるだろう。


むしろ、実際にうごいている塾から顧客の要望をよみとり、それをブランドにして欠点を逆転的発想で挑戦する。


これぐらいはしないと安定はしないだろう。

<つづく>