第16回 GID学会 3/21(金)、3/22(土) その1

GID学会が終われば春がくる。

今年のGID学会は沖縄で山本クリニックの山本先生主催。
http://gid16-okinawa.kenkyuukai.jp/about/index.asp?

離島であるにもかかわらず、278人とか。
300人近く。

大会のテーマは「南の島から世界へ」。

離島といいますか、本土の視点と違う観点で非常に面白かった。

今回はMac book Airをもちこんで、リアルタイムでついーと。

以下補足。

GID学会沖縄ついたなう。スタンパイOK。3/21、3/22の二日間で沖縄県市町村自治会館にて開催中。オープニングセレモニーで沖縄の民芸のたいこ踊り?開催中。
→たいこ踊りは「エイサー」。お盆のときにおどられるんだって。
エイサー - Wikipedia


会長講演、沖縄のGID診療の歴史・現状・課題、沖縄は山本クリニックの山本先生より。今回の研究大会のテーマを包括している内容。観光、そして医療という観点を「沖縄」いうキーワードで語ってくれる。
→山本先生は与那国島の出身。


「境界を超えることのあこがれ」。沖縄での診療は1998年より。1997年にガイドラインが発表され、98年にオペが行われ、日本性科学学会で発表。最初に2004年に日本で最初に戸籍変更が行われたのは沖縄。2014年沖縄県立中部病院にてジェンダークリニック開設。


累積受診者数391人、うち281人が山本クリニックの患者。初心は20代、FTMが322人と多い。(MTF69人)。精神的合併症もうつ7例、統合失調症6名、アスペルガーなどの発達障害もあり。


問題点。精神所外などの合併症、一般医療機関の対応の問題。ほかの身体的疾患、ケースでは3β水酸化酵素異常、3例。適応委員会人材不足など。


2007年タイの医療機関視察。海外はヤンヒーが多い、次がガモンクリニック。医療つーりすむの問題点、事前/事後の問題。特に料金に何が含まれているか、などの確認。


理事長講演、性同一性障害に関する社会的課題と学会としての対応岡山大学は中塚先生、第一の課題は「治療への保険適用の問題」。厚生労働同省に毎年要望書を提出している。「医学的必要性」と「医学的妥当性」の関連。


理事長講演、手術の安全性に関して。自殺予防、過去に自殺念慮が80%以上、自傷などは50%、自殺大綱に性的マイノリティの配慮を。内閣府特命担当大臣あての要望書「男女共同参画事業」にGIDnの観点を。


学校教育とGID、思春期の子供への抗ホルモン剤投与がOKになったが、問題はGIDを抱える子供をどうやって発見して医療へつなげるか。学校の協力がかかせない。GnRHアゴニスト、薬価が34655円?20840円、安くはなってきたが…。


「いかにいい出しやすい環境をつくるか」パンフレット発行。2014年1月24日、文部科学省がはじめて実態調査を行った、全国の小中高校生の人数と対応の調査。、


家族、生殖医療、特別養子縁組、結婚したFTMがAIDで子供を得ること、嫡出子とすること、調査をしたら肯定が多い、2013年12月10日に「嫡出子」として認める判決。代理母の問題。特別養子縁組87%近くがOK。


GID問題への人材育成、医療関連のみならず、教育その他。委員会の役割分担、1.研修会、研修システム作成、2.保険適用の活動、3、用語の整理、4、広報、渉外など。


私自身が言葉や時代のキャッチアップや言語化が追い付いてないので、参考提示。2013年12月10日付。「性別変更した男性と、精子提供の子は父子 最高裁初判断」。 http://www.asahi.com/articles/TKY201312110293.html


「医学的な正当性・妥当性をあまり強くいってしまうと問題がある」。質疑応答、針間先生。


東優子先生の紹介で特別講演1、Lost in Transition: trans people, recognition, pathology and rights。演者はSam Winter先生、香港大学、子供の心理が専門のちジェンダーアイデンティティの問題に。


講演内容の流れ、スティグマから病に至るスロープ、2、診断、3、ジェンダー承認。


トランス当事者の定義、2012年WHO地域協議。マニラ会議。アジアや太平洋の場合スピリチュアルな側面も含む。 ICD10によるトランスセクシャリズムの定義。


トランス当事者の定義、トランス当事者がいかに病になるか。スティグマから虐待、暴力などのハラスメントをうけ、社会的、経済的、法的に周縁化する。リスクのある行動、状況におく。GIDから貧困に、セックスワークHIV/AIDSに。保険医療の貧しさ、アクセスの難しさ。


これかな?「UNDP transgender health」
Discussion Paper on Transgender Health & Human Rights | UNDP


2008年〜2013年までに殺された当事者は世界で1374人。アジア太平洋の分布も公開。


アジアにおけるトランス当事者の50%から80%がセックスワーカー感染症の問題、HIVの感染率の分布図。インド42%、南アフリカ57%。中・低所得国18%、高所得国でも22%、一般の49倍。


ICD10とWHOのについて。キター!(私的発言)、今ICD11を改定中。死亡原因は疾病の統計をとるための分類。実は国策に医療的問題を反映させるのには欠かせない。


トランス当事者に精神疾患の診断を渡すとスティグマの助長になりかねない。


精神疾患診断のリスクUP。トランス当事者にジェンダーの矯正されかねない。物事の決定権を阻害。ジェンダー承認に阻害。法的な性別変更阻害。たとえばトランス男性は精神障害のある女性という診断になるため。


ICD11の改定について。GID精神疾患から別の章に引っ越しするか、新たな診断概念をつくりだす。


ICD11の改定について。GID精神疾患から別の章に引っ越しするか、新たな診断概念をつくりだす。


ICD11。GIAAという診断という案。青年/成人期の診断。子供はGIC。


ジェンダーが他の異なる子供たちに必要なこと。支援的カウンセリング、望みの性での通学、適切なメンタルヘルスケア、ヘルスケアの記録。


WPATH内での意見がわれた。GICという疾患概念、賛成/反対14票、同数。


私的発言。診療情報管理士の仕事が主にカルテの管理なのだけど、このカルテの管理、実は重要なミッションがある。ICD10のコーディングとよばれる業務がある。これいったい何をコーディングして何を動かそうとしているか。


私的発言2。人間が死亡した原因をコーディングすることによって、社会のシステムを改善することがICD10の使命。「人間を死なせるような【しくみ】のバグつぶし」 これを世界的にWHOが中心になって統計を取り続けている。


私的発言3。「なぜ同性愛やGIDの人が自殺してもこの世になかったとこにされるんだろう」 死亡診断書に報告がないため、そんな事件存在しないことになっているのだ。世の中のシステムを改修させるためには死亡原因からその事実が分かるようにする。これがICD10、そして11。


手術要件について。反対している国際法。ICCPR、CAT。権威ある組織の声。ジョクジャカルタ原則。オーストリア、すえーでん、ドイツの上級裁判所、アネムスティインターナショナル。WHO、WHO-WPRO。


アルゼンチン、ジェンダーアイデンティティ法。1.18愛以上、2.申請書提出、3、国家統計局に提出、4.新しい名前。18歳未満に対する規定あり(特別要件)


日本に於ける医療ツーリズムとGID、その可能性と問題点長崎大学は小澤先生。最初は医療保険について。


アベノミクス医療のアウトリーチがある。タイやシンガポールなど東南アジアなどに比べると、日本の場合、納税者に還元する形での利用の提供という特殊な状況にある。とはいえ、日本の医療をうけるため中国の富裕層日本上陸。JCI、認定団体,日本では9施設が認定。


医療ツーリズムの問題点、3つ。保障制度、費用、施設の選定。合併症や偶発的な病気がどの程度保障されるか?など。費用などの詳細も報告。やはり日本200万台、タイ100万きるはかわらず(メモとれなかった)


岡山大学は難波先生、「日本におけるGIDと医療ツーリズムの現状と課題」ジェンダー難民の救済ジェンダー難民。すなわち日本の医療機関にかからず海外にいき合併症を起こして、受け入れる病院がない状態に陥ること。


ジェンダー難民。合併症いろいろ。資格資料も。壊死や瘻孔、血栓形成など。「なぜジェンダー難民」?合併症を自分が起こすことを想定していない。


ジェンダー難民。コンパートメント症候群…。実例をもって対策を公開。ほかの合併症に対しても同様。タイでの症例。もちろん公開には患者の許可をいただいている。有名な「No Problem」


ジェンダー難民。海外治療の課題と対応。1、医療機関調査、2、エージェント選択、3、診断書、紹介状準備、4、国内病院確保(これが大事!)


私的発言。2週間すべて病院となるといくらタイでも医療費かなりはね上がるぞ。だから落ち着いたらホテルで療養することが多い。


日本の医療機関⇔海外の医療機関、情報の連携が重要。あと大使館より。自国民の保護という名目で合併症患者の保護も業務のひとつ。


なぜ保険認定できないのか?リスクはでかずぎて、対応する施設が少ない。少ないから厚生労働省が認定しない。専門施設が少ない+高額医療のため、海外へでかけてジェンダー難民ができる。しかしSRSの保険適用がジェンダー難民の問題解決のひとつになる。


ガモン(Kamol)先生(Kamol Cosmetic Hospital)&エージェントの横須賀氏、タイのガモンクリニックのサービスの紹介。日本の患者の特徴も紹介。時間厳守、礼儀正しい、規律厳守とのこと。


そして横須賀氏、彼はタイにおける老舗のアテンダントで、アテンダント業者としてタイの医療ツーリズムの現状と課題を報告。現在10以上のアテンダント業者がいる。アテンダント業者側の問題。英語、タイ語、医療知識なし、労働許可証なしでやっている業者がいる。


横須賀氏、患者側の問題もある。まず健康状態や体質の問題。手術のついでに観光できると考える患者が多く手術のリスクや術後のケアなどの理解なしでオペに臨んでしまう。日本で健康的な生活をおくり、オペ後は観光しないほうがよい。


タイでの渡航医療の費用の問題。「高すぎるのも安すぎるのもおかしい」


横須賀さんの質疑応答はかなり盛り上がりをみせる…が、私にはヒアリング無理だったのでほかの報告者の言葉を求む。


岡山のさとうクリニックの佐藤先生の報告。性同一性障害に関する委員会?」GID症例数と国内外の性別適合手術例数の推定調査。22013年夏、国内の19か所の医療機関へアンケート調査。その分析結果を報告。1、受信数(主訴)、特例法記載FIRST、国内外オペ数。


Firstが3002例。性別変更が3584例。84%が変更。主訴とした14889例。国内オペが571例、国外は789例、合計1360例。国内オペは11施設で全体の42%。最高裁から変更数は発表されていないが、11施設の解析より2583例、MIF1001例。


しかし調査が不十分。大都市の症例数が多いと報告がない。性別違和を主訴とした患者の数は18施設で17000例あまりと推測。FTM65%、SRSもFTM72%、日本ではFTMが多い可能性がある。


北海道におけるGIDの疫学札幌医科大学の池田先生。性同一性障害の有病率調査。日本性科学学会2009年に佐々木氏の調査は、受診した当事者に限られている。。受診していない当事者がいるため、過小評価の可能性を考え、北海道をベースに分析。診療録にもとづく調査解析。


北海道におけるGIDの疫学、統計学的には課題を残しつつ。たとえば個人のジェンダー不定?それからある年に特別多い?など。後ろ向きのようで前向き研究である。


北海道におけるGIDの疫学、カットオフ値はすでにあり(針間・石丸)。ユトレヒト性別違和スケール(UGDS日本版)を使用。また小児期の性別違和やFTMMTFの比率について考察。今まで数万人に一人といわれていたが、実際数千人/数百人の存在、臨床の体感と矛盾しない。


沖縄におけるGIDの疫学、山本先生。2004年?2013年12月までの確定診断をうけたGID当事者をもとに有病率を調査。沖縄ではFTMが400/1、MTFは3484/1。全体で717人/1人。沖縄出身者にまとめてみてもFTMが突出して多い。


私的発言。有病率調査ってのは学校教育、医療行政などの働きかけに影響してくるから重要。しかしFTMの多さは「超男性脳」とされる自閉症などの発達障害の当事者がカウントされていることはないか?前にFTMMTFでは発生原因が違うかもという問題提起があったと思う。


またMTFの場合は文化的に地方都市では生きづらくなるから、故郷を出るケースが多いとも思う。どうしても役割上離れられないMTFが限界超えて「やむなく」となるから、MTFも高齢化しやすい。若いMTFは比較的早めに自分の居場所つくるからなあ。


FTMの場合はまず自分の居場所つくるのに苦労する。エントリできない。しかもMTFほどキャラづくりや饒舌家にはなれない。よほど小中学生で専門スキル身に着けて早く自立しないと社会に居場所がなくなる。そのことはオペを急ぐ理由になるかもしれない。


中村かれん氏、エール大学大学院 文化人類学部。GIDの医療人類学と疫学聴覚障害GIDを研究している。アルバニアの「宣誓処女」など文化人類学FTMの紹介。GIDの病理化について「今までは欧米が正しいとされてきたが、今は日本のほうが最先端いっているかもしれない。