問題を『今』あなたが抱えていますか?
先日やっと指導教授希望の先生と面会した。
事前に送っておいた修士論文の抄録を評価していただく。
もちろん「穴だらけなのは穴だらけ」なのだが・・・。
価値観が先生と似ているということがわかってうれしかった。
「現場で使える研究を」というのがモットーで、いわゆる実証的な研究者をめざしているわけではない。
「机上の空論ではダメだ」というのが大学のときからの方針でフィールドを離さないようにしてきたわけだけど・・・。そういう体験があったからこそ、生きた研究になったのだろうなと思う。
今後のことで重要な問いがあった。
「この問題を『今』あなたが抱えていますか?」
もうすでに私自身の問題としては終った、と答えた。社会的にはすべてが解決したわけではないが、解決に結びつくには新しい価値観が必要でその浸透にはさらに時間がかかる、私が生きている間にはむずかしいかも、とも。でもやる価値はある。
今は今の価値観にあわせて「現実的な解決」をしただけだ、とも。
もうひとつの懸案もあった。「ここにしばられるとつぶしが利かない」。
もっとひろい視野で新しい価値観、しくみの枠をしっかり作りたい。
この問いの意図。
「自分が解決したい問題でないと『研究活動はできない』」ということだ。
これを聞いてやっと吹っ切れた。
12年間がんばったんだ、もういいだろう、俺。みたいな。
望ましい形での結果がでていないかもしれない。
けれどもやったよなあ。
普通は2、3年でやめてしまうらしいことをよくもまあ12年。
もちろん引退しようとして引継ぎに失敗したために5年延びたのもあるが。
最後の3年ぐらいはほとんど信念のみで続けていたなあ。
イスラームでいうところの「人としての義務」で。
「かたぎになりたい」と毎年言い続けて。
心的外傷がひどくてくじけそうになるのをなんとかささえて。
期限もない。見返りもない。終わりの見えない自分の弱さとの戦い。
かなり精神的に厳しい修行にはなった。
ここまで続けてきたエネルギーでやはり・・・子どものときの私の「助けて」だよなあ。
「助けて」を無視される子どもを二度とださない、という信念でやっていたのだよなあ。
大勢は助けられるだけの力はないので、
「個人で対応できるものを提供する」という方針でやってきた。
これも迷いがあった。悩んだ。
私は「みえない」当事者のため。それだけだった。
逆にいうと「みえない」当事者のために動く人がいなかった。
「みえない」当事者自身は当事者嫌いだから「みえなくなっている」のだ。
※この問題に関してはアイデンティティと現実の違いは以下を参照
http://d.hatena.ne.jp/stshi3edmsr/20080820
望まぬアイデンティティの強要こそ「間違い」というのが私のかんがえです。
望ましい形での結果がでていないので今尚苦しんでいる「みえない」当事者がいる。
「みえる人のためのしくみ」はできている。
「小さな声を救い上げよう」という動きはある。
「みえない」当事者のため、というしくみは今の日本にはない。
「みえることがいいことだ」という「みえるもの信仰」が強いからだ。
「みえるようになる」ことでなんとか問題は解決すると思われている。
しかし、「みえる当事者」は「当事者」という牢獄に閉じ込められる。
あまりに「めざわり」だと「いないこと」にされてしまう。
私生活で失うものがあまりにも多いのだ。それが問題だった。
当事者であることは本来は「信頼できる人」にのみあかすべき内容だ。
しかしそれが「裸を露出する」ように誰にでもむき出しにされている。
そのために逆にいきづらくなることがある。
優遇されすぎていると障害者に嫉妬する健常者もいる。
障害者だからと同じ競争のフィールドに立たせない人もいる。
障害者を保護しすぎて障害者の生きる力を奪ってしまったケースもたくさんある。
障害者関係の利権に群がるもの。
健常者が障害者という形で病理化されていく社会。
理解なんて人は簡単にできるものではないのだ。
ではどうすればいい?
答えは見つからない。
けれどももはやこのフィールドでは私は戦えない。
私の中に解決するべき課題がないからだ。
だから変革の激動期であるが、中途半端ではありますが。
でも縁があればなんらかの形で力にはなれているかもしれない。
気がつかないうちに。
そういうしくみは一般社会側にすでにつくっております。
12年間の当事者ネットワークとはまったく別物で当事者のつながりはありません。
3年かけてなんとか形にはしました。
今でもちょこっと稼動はしております。
公開はしません。
すごく小さく「本当にニーズ」がなければ
そのままお蔵入りになるかも・・・(汗)
でも「本当にニーズ」ってそういうものかもしれない。
縁があったら出会えるかもしれません。
さてと・・・次の「戦場」・・・いくか。