レベル1 KYの原因・「疎外感」の落とし穴 その7

■心の理論
「心の理論」というものがあります。


心の理論 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BF%83%E3%81%AE%E7%90%86%E8%AB%96

他者の心の動きを類推したり、他者が自分とは違う信念を持っているということを理解したりする機能のことである。


検査方法を抜粋。

サリーとアン課題 [編集]
1. サリーとアンが、部屋で一緒に遊んでいました。
2. サリーはボールを、かごの中に入れて部屋を出て行きました。
3. サリーがいない間に、アンがボールを別の箱の中に移しました。
4. サリーが部屋に戻ってきました。
5. 「サリーはボールを取り出そうと、最初にどこを探すでしょう?」と被験者に質問する。
正解は「かごの中」だが、心の理論の発達が遅れている場合は、「箱」と答える。


発達障害の場合はこの「他者の立場でものを考える」が苦手なようです。


小学校のときに感じたいじめや暴力に対していった「自分が同じ事をされたらどう思う?」が通じなかったのはもしかして隠れた発達障害の当事者が加害者だったのかもしれません。


しかし、「他者の立場でものを考える」ができない、「空気が読めない」が「心の理論」や「ミラーニューロンだけが原因なのでしょうか。


私は自分の経験からも別の視点からも見てみたいと思います。


キーワードは「疎外感」です。


「空気が読めない」人間をさらに「空気が読めない」状況に追い込み、問題行動を起こさせる3大禁句があります。

■3大禁句
「都合があえば手伝ってほしい」
「あなたには関係ないよ」
「わからないならわからないといえ」


「都合があえば手伝ってほしい」は「自分が忙しいから手伝わなくていいや」と解釈されます。


「あなたには関係ないよ」は「私は『仲間ではなく』客なのだな」と解釈されます。


「わからないならわからないといえ」は「重要なことは先にいえよ!」と解釈されます。

そして「私はこの集団で必要ない人間なのだ」、と「疎外感」を感じます。

3回にわけて解説していきましょう。



■「都合があえば手伝ってほしい」はNG
茶道の教授という立場になりますと県を代表するようなイベントをしかけることがあります。


昨年、母がしきった岡山を代表する某イベントは1100人の参加者の大成功のうちにおわりました。
母の力だけではなく、岡山県を代表する他の茶道の教授の方々の尽力もあってのことです。


子供のときからふれあっていた彼女らと幕間に話をする機会がありました。
女王様のような仕切りやの先生と母の理解者である「自称性格が似ている」先生です。


(伊東)「本日はどうもありがとうございました。おかげさまでいい大会にすることができました。」
(先生方)「いえいえ。…。」


こんな話になりました。


(理解者)「○○さん(私の母)、『わかります』といって全部自分でかかえこんでしまうのよね。こちらから『どう?』と聞き出さないととんでもない間違いをするの。今回の茶菓子の見積もりも○○さん500個で考えていて、私1000個に訂正したの。去年が800個だったから、500なんてとんでもない。結果は追加100個、危なかったわよ。」


(女王様)「○○さんあまりほかの人のイベント手伝わないから、イベントのときに何がどのくらい必要かとかわからないのよ。」


(理解者)「もっとこまめにいろいろな人の仕かけるイベントを手伝ってみることが必要なんだけど…」


女王様はおっしゃいました。


「まあ、用事があって忙しいときはしかたがないから…」


私は「あっ、これでは母に真意が伝わらない」と思いました。


たぶん女王様は「自分のイベントのときに手伝いに来てほしい」と思っています。けれども母には「都合があえば手伝ってほしい」と伝えていると思うのです。


けれども自分のことで「忙しい」母は「都合があえば」を文字通りうのみにして、「都合があわないから手伝えない」と答えてしまうと思うのです。決して「ああ、手伝ってほしいのだな」と相手の真意を理解して自分の予定を調整するという行動をとりません。はじめに自分が決めたスケジュールをかたくなに自分のペースで実行しようとします。


人の要望を取り入れて手を貸すことで自分の仕事をやりやすくする、ということがわかりません。自分の中でマネジメントが自己完結するのでOKと思ってしまうのでしょう。だから「わかります」、と答えてしまいます。人の知恵を借りる、人に手伝ってもらうということすら発想できません。そのために自分のシナリオですべての仕事を抱え込んでしまいます。人には人の都合があるという「自分の知らない変数がある」ということを知って臨機応変にとりいれて人を満足させる、ということが彼女の中で理解できないようです。自分からすすんで人を助けることをしない代わりに人に助けを求めるという発想もありません。


自分で完結する小さい世界であればそれでもいいでしょう。けれども「みんなで何かをする」イベントの場合はそうはいきません。「みんなで何かをする」というスキルが必要になります。


「都合があえば手伝ってほしい」を素直に実行した結果として、「人の気持ちがわからない」「自分のことしか考えない」とマイナス評価になってしまいます。けれどもこれ、文字通りに読んだら「非常に矛盾している」のですね。


「都合があえば」といったんだから、「都合があうか」検討して「残念ですが…」と答えただけでない?
けれども「都合があえば」が「本当は手伝ってほしい」と解釈するためにはもう少しハイレベルなコミュニケーションスキルがいります。最低でも「心の理論」がうまく働かないとできません。


カニックな表現をいたしますと、「私という世界」と「相手という世界」を同時に脳内(心内)に展開して、並列処理で「突合」しないといけません。「私という世界」で脳内メモリがいっぱいいっぱいだと「相手」を展開することができないし、さらに「突合」するためのメモリも必要になります。さらにそれが音声コミュニケーションに適応できるだけの高速処理能力をそなえているか、という問題もあります。


みなが当たり前に求めている「少しは相手のことを考えろ」はかなりハイレベルな機能なのです。


もちろん母の中には「誰かが求めているのであれば、自分の力をさく」という気持ちはあります。
ただ「本人のもつ心&時間的資源」が少ないため、よほど強く「あなたが必要だ」といわないと人のために力をさく、ということはできないと思うのです。


なのでもっとストレートに「少しでも手伝ってほしい」と女王様がいえば母は彼女のために動くのに、と思ったのでした。


■対策はあるの?「関係性の地図」&NLP「ポジションチェンジ(知覚位置の変換)」

では彼女が「みんなで何かをする」ができるためにはどうすればよいのか。


まず一番に感じたのは「音声のやりとり」はやはりNGですね。図解で絵を描いて状況を説明すると、ぱっとのみこんで「全体の状況」を考え出すのです。


たぶん音声のやりとりだと「私」対「誰か」の戦いになってしまうのでしょう。スピード感やリズムの問題もあるため、「状況や立場を多角的に把握するのに不向き」なのです。ついていけないときには自分を守るために「防衛(ディフェンス)モード」にはいってしまいます。


図解だと「私」と「誰か」の関係性というものがみえます。視覚情報は空間の広がりを意識しやすいです。
また視点を相手の立場にシフトするのが楽になります。


HPやメールのやりとりではなかなかできないですが、私は「関係性の地図」をつかっての説明をよくやります。「ポジションチェンジ(知覚位置の変換)」は身体的にできるのでもっとやりやすいかもしれません。


http://nlp.web-tuku.com/nlp_terminology/nlp_terminology01.html
http://nlp.web-tuku.com/nlp_terminology/nlp_terminology01.html


「関係性の地図」とはたとえば大河ドラマ天地人」の登場人物関係図のようなものです。
これを自分の身の回りで常に意識しておきます。


大河ドラマ
http://www9.nhk.or.jp/taiga/index.html


http://www9.nhk.or.jp/taiga/cast/index.html:tile
http://www9.nhk.or.jp/taiga/cast/index.html


これは単なる血縁とかの関係だけでなくて、各人物の「価値観」「感情」「役割」がかかれております。


歴史が大好きな人だとこれは簡単にできるのではないでしょうか。


母は子供のとき「歴史」が大嫌いでした。私は反対に好きでした。高校のときに私はこの図を描きながら、「古代エジプトの歴史」「源平の歴史」の話をしました。そうしたら母は歴史が好きになって、「三国志」「水滸伝」「史記」「十八史略」等中国の歴史を読み始めました。それと同時に不器用な母の社会的なソーシャルスキルもUPしてきたのです。


「誰がどういう立場・役割でいて」「何を考えて」「どのように感じて」「行動した」。
それに対して「誰がどういう立場・役割でいて」…。


これは実世界でもいかせます。


私は何かを考えるときはまず「日本全体」ということを考えます。
「日本全体」ではあまりにアバウトなので地方にいる友人たちを思い浮かべます。
その友人たちの「価値観」「感情」「役割」を意識します。
そして、「このケースはAさんだったらどう考えるだろう」と点検していきます。
大体の総意、対立意見も整理します。


私の友人関係はホームパーティが「戦場」になるぐらい個々の価値観の相違が激しく、パーティを主催するのは好きですが、パーティは一番の悩みになります。「やつがくるから俺はいかん!」と誰もこなかったらどうしよう…とか(笑)、いつも思います。だからオフ会がなかなかない…。


これだけ個性豊かな友人たちのおかげで「大体日本全体みたいな、近いモデル」はあるのかな?ということにしておきます。


そしてそこで「私の立場がどのようで、何をしていくか」「それを私がするべきか」と考えます。


未知の領域はある場合には、私のメタモデルの友人がしゃべらないこと、これはメタモデル外に友人の意見がある場合が多いので、話を聞きます。目からうろこの新しいアイデアが入ります。


「関係性の地図」をもとにこれができるのですが、これを音声でやるとかなりパニック状態に陥ります。
まずその「場面」を冷静にさせようということが優先になります。
これで「敵が増えてしまう」…(哀)。
でも「話が聞けないと意味がないじゃん。」
こういうときは私が聴覚障害もっていることを忘れられますね…(哀)。


なので話し合いの「場所」をつくって、一人ずつきちんとしゃべらせる、が私の手法になります。


この方法の欠点は友人Aと弟に指摘されたのですが、「欲」という視点がありません。
「欲」という視点が欠けるのが私の弱点だそうです。
「欲」という視点も大事です。
ですが、これは次のレベルで説明します。


つづきます。