新生児聴覚スクーニング検査について

2006年10月21日(土) 人工内耳 −幼いサイボーグの自己決定−?( http://d.hatena.ne.jp/stshi3edmsr/20061021 )で「うっげっ!まさか!」ということで内視鏡の予約をしたその日が本日。胃カメラのんできました。自分の胃腸をみたのは初体験です。「十二指腸潰瘍の疑いありだった」けど、十二指腸潰瘍は過去にかかっていて治った形跡(!)があって今回はそれに該当するものはありませんでした。過去の十二指腸潰瘍はいつできたものかは不明です。(爆)それも問題かも。まあうちの祖母も数年前血糖値900だしてぶったおれたときに医者に「脳梗塞のあとがありますが、治ってますね」といわれたつわものなので遺伝性かもしれない。


胃は荒れていたので胃炎でした。心配をおかけしました。もともと胃は家系的にこわしやすい人です。ただ、私的には心臓も要注意。今まったく問題がないが、私が命をおとすとしたら一番は「心臓」。強すぎてこわす可能性がある。んで心臓の病には「放散痛」ってものがあるでしょう?胃の痛みと混同しやすい。だからこわかったよ。まじで。でも大丈夫。よかった。


さてここで紹介した「新生児聴覚スクリーニング」の話をしよう。


実は今年8月に姪っ子が生まれたことは話したかな?もちろん新生児聴覚スクリーニングやりましたよ。結果は正常でした。まあ「ノウハウ」があるから問題があっても対応できるけれど、問題がないにこしたことはないのでよかった、よかった。


実は「その考え方問題ある」と思われるむきもあることも言及しておく。


と、いうことで本日の話題は「子供の人工内耳」と双璧をなす「新生児聴覚スクリーニング」。


なぜ新生児聴覚スクリーニングをやるのか。理由は簡単である。聴覚障害にともなう二次障害以後の障害を阻止するためだ。二次障害とは言語発達の遅れ、三次障害は社会参加の阻害である。それによって生活のQOLをあげることが目的なのだ。これをなんとか新生児検査で無償&必須にしたいということでシステム整備がすすめられている。<参考記事>
共同通信社 最新医療情報
「新生児の聴覚検査進む 岡山県は75%カバー 6カ月以内に療育開始」
http://kk.kyodo.co.jp/iryo/news/416nantyou.html

くまにちコム
「新生児の聴覚障害 岡山など公費負担で検査」
http://web.kumanichi.com/iryou/


日本婦人科学会
http://www.jaog.or.jp/


新生児聴覚検査試行的事業「はじめに」
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/JYOSEI/shinseiji_html/shi-top.html
目次
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/JYOSEI/shinseiji_html/shi-contents.html


※資料2として聴覚障害児早期支援実施機関の一覧がある
http://www.jaog.or.jp/JAPANESE/jigyo/JYOSEI/shinseiji_html/shi-12-2.html



「新生児聴覚スクリーニング」の先鋒をきるのはやはりといってはなんだが、岡山県である。つまり私が聴覚障害の訓練をうけたところである。新生児の約75%がこの検査を受けられるようになっている。検査代は公費負担だ。産科を持つ37の医療施設が参加している。


なぜ岡山が、というと実は岡山、メインは岡山大学医学部付属病院であるが、日本初の国立大学病院によりGIDの医療施設を手がけただけではない。全国初の難聴学級が岡山市立内山下小学校(私母校:2001年廃校)も解説したのだ。そしてまたこれも全国初の難聴幼児通園施設岡山かなりや学園(以下)が認可された。つまり岡山県聴覚障害児の教育と福祉に関してはパイオニアなのだ。


もしも聴覚障害が疑われる結果がでた場合は以下のフローになる。
?指定されている十四の耳鼻咽喉(いんこう)科で再検査
?難聴と判定された場合難聴幼児通園施設「岡山かなりや学園」に紹介される
?併設の診療所で詳しい聴覚の評価を受けたうえで言語聴覚士らによる療育を受ける


岡山県における新生児聴力検査の事例
http://www21.big.or.jp/~pcs/ent2006/topics/screaning_okayama.html

岡山かなりや学園
http://www.harenet.ne.jp/kanariya/


岡山かなりや学園は全国初の難聴幼児通園施設で昭和44年に設立された。私も昭和54年から小学校入学まで通っていた。記事にでてくる言語聴覚士の先生が私の恩師の福田章一郎先生である。ちなみにGID関連でも言語聴覚士の先生がかかわっている。MTFの方の訓練を行っているGID研究会で研究発表される櫻庭京子先生で今年は「声パス度の測定システム」をヒットさせた。その先生の話だと「難聴児」に対応できる言語聴覚士は少ないのだそうだ。実際難聴対応の臨床経験をもつ人がすくないのだそうだ。


「新生児聴覚スクリーニング」で使われる検査方法は主に聴性脳幹反応(ABR)は聴覚神経を刺激して得られる脳波を測定する方法である。そのほかに耳音響放射(OAE)という蝸牛の音響反応を調べる方法がある。


新生児聴覚検査は以下のページを興味がある人はよんでほしい。

きこえとことばの発達情報室
http://www.warp.or.jp/ent/kikoe/kikoe_index.html


新生児聴覚スクーニング検査について最後に伝えなければいけない重要なことがある。母子関係である。インフォームドコンセントの失敗によって「母子関係」を崩壊させているケースが少なからずあるのだ。


これははずかしながら私も32歳になるまでまったく気づかなかったことである。五体満足の状態を「当たり前」と思って五体満足の人しかつきあってこなかった人にとって障害をもつ人とのつきあいというのは障害をかかえた当事者の想像以上に心身ともに負担が大きいのだ。「障害」ということばだけで「頭が真っ白」になり、絶望の谷底に突き落とされる母親がいまだにつきないことからもそれは伺える。この顕著なものが聴覚障害をもつ子供と母の関係である。情緒的な交流ができなくなった、という悩みを抱える母親が多いのだ。


私の母も例外ではなかった。私の養育は母にとって「わからない」「難しい」ものだったという。コミュニケーションがとれない状況の中で人間関係すら崩壊した家族も多い。私の場合、9歳のときに母が「よかれとおもってやった」ことで信頼関係が崩壊してしまい、以後「母子」という人間的な心の交流をとりもどすまで20年かかった。「父親でないと育てられない」といわれたのはそのためだったかもしれない。


正直にいって本当は「わが子」がいてもおかしくない年ではあるがいない私にとってはその重みというのが実は実体験としてはあまり理解できない。まさに「親の心子知らず」をいくものではあるが、長じるにつれて親子の間でさえ障害/健常の壁の厚さには慄然とさせられる。その壁の厚さがそのまま社会構造の意識につながるのであるから家族内の環境というのはおそろしいものである。


きこえとことばの発達情報室
http://www.warp.or.jp/ent/kikoe/kikoe_index.html
http://www21.big.or.jp/~pcs/ent2006/topics/screaning_TCkenkaihou.html


もちろん、専門家たちの連携で母子関係をこわさないように情報提供や母へのカウンセリングを行っていることも付記しておこう。