閑話休題 エジプトの自動車運転事情

日本でエジプト人の友人と「どこにすむか」を話したことがある。
友M:「車運転できる?」
伊東:「運転はできるが、カイロの町を運転する自信はないぞ。」

しかしそれでも出国前に誕生日前の事前運転免許更新をし、国際運転免許を取得した。

■国際運転免許証
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%81%8B%E8%BB%A2%E5%85%8D%E8%A8%B1%E8%A8%BC

エジプトでは車を運転できる。

しかし…、基本在留邦人は車を運転しないほうがいいといわれる。
理由は「危険」だからだ。
エジプト人の運転は基本的に荒い。
F1レースにたとえたHPも見つかった。

さて、とんでもなくぶっ飛ばすタクシーの運ちゃんのおかげで恐怖心がぬけなかったことは話したが…。

その後、エジプトの自動車運転事情として…。

■その1 道路の構造。
友M:「道路を横断するときは一方を確認すればOKだから。基本的に【一方通行】なんだ。」
伊東:「えっ!」

=> 中央分離帯をはさんで一方通行という道路が多い。

■その2 迷路のような動き
日本のような碁盤の目ではないので、中央分離帯の切れ目から転回することで目的地にたどり着く。

■その3 信号機が少ない
その代わり○○広場、○○スクエアーという形でロータリーがあって、ロータリーを利用して目的地へ向かう。

■その4 町の入り口、交差点が「なまこ道」?
なまこ道=>なまこ壁のように盛った形をしている。通常の速度で進入するとバウンドするためおのずと10Km代にスピードを落として超える。ようするに「一時停止線が立体」なんだな。これ、日本に導入すればいいのに…。

でもこれは90年代にはあまりなかったような…。
車の数が増えたから。


■その5 三車線を4台で走る
隙間が少しでもあくと、さくさくと車が入る。まるでルパン3世の映画のよう。

これはなんとかしたほうがいいぞ、と思った道路事情。

■その6 緊急車両用、バス専用道路があったほうがいい。
フレイヤからの帰り、殺人的な渋滞があった。そこへオレンジ色の救急車(イスアーフ)がサイレン鳴らしてきた…が。
「お、救急車はじめてみたぞ」と思ったら、「救急車がうごけねーんだよ!」。
サイレンならしてはあきらめ、サイレンならしてはあきらめ、やる気なし。
どうしようもないんだよな、誰も道を譲らないし、譲れないし。

緊急車両用の道がないからだ。

救急車と併走して走ること30分。

「あっ」

目の前にあったのは大型トラック同士の大事故。
一方のトラックは完全に運転席がつぶれていて、ちょうど若者がとびのって確認していたところだった。
30分か…あれじゃ運転手死んでるよ…。

エジプトでこわいのはテロよりも交通事故かもしれない。

友人の帰国時にも殺人的な渋滞で空港へいくバスが動かん。
結局通常20分の道を1時間30分かかり、友人が激怒。

現在エジプトでは地下鉄建設が3号〜6号と計画され、一部着手しているが、そりゃそうだ。
都市の機能そのものが危機的状況だよ。

カイロ地下鉄
出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E9%89%84


ヘルワン−エル・マルグ線。通学の足である。

エジプトならでは?の交通マナー?

■その7 追い越しの作法。
フレイヤ線で。
1.追突するかとおもうぐらい車を前の車に接近させる。(僕が嫌いなパターンだ!)
2.クラックションを2回ならす。
3.追い越す。

■その8 なぞの右ウインカー点滅。
フレイヤ線。一本道。右折する道もないし、追い越しもしないのに右ウインカーを出す。
だが、その直後対向車が来る。
どうも「対向車あり、追越するな」のサインを伝言ゲームで送っているらしい。

■その9 対向車へのスマイル
クラックション一回+対向車へのスマイル。
知り合いかと思いきやそうではない。マナーのひとつ。

こうしたエジプトの運転マナーを考えるのに非常に面白いエッセイをみつけたのでリンク。
関西学院大学総合政策研究科の教授で、ショーペンハウアーの哲学が専門のようですが、2004年にエジプト・カイロにこられてます。

鎌田康男氏のHP
http://dekansho.de/japan-0.htm

哲学者が見たエジプト社会 ― カイロ回想
http://dekansho.de/cairo1.html

以下重要な指摘抜粋。

スークの混雑と、カイロの自動車渋滞は、同じ理屈で機能しているのだ。共通するのは、動いている私が、動いている相手との絶えず変化する位置関係を判断する能力が問われる、ということである。

自分の行動は、相手の行動との相関関係の中で決まってくる ― 歩行者であろうと自動車であろうと、それが、彼らの移動の原則である。それは複数の変数を含む複雑な関数にも比較できる。

西欧(的)近代人の思考行動は、少なくともオフィシャルには相手との相関関係 ― それは慣れあいといってさげすまれる ― によって決まるのではない。通常は、自分と相手とを超えた第三の基準に照らし合わせて決まる。交通の場合は、交通法規を遵守することによって、結果的に自分と相手の行動がうまくいくように調整されている

長所は、先に述べたように、簡単で合理的であるということだ。運転するときも、最低限交通法規、具体的には信号や速度標識を守っていれば、ほかのことを気にしなくて済む。

短所は、社会生活が人間相互の信頼関係によって築かれているという意識が希薄になり、法律にさえ触れなければ何をしても構わない、あるいは、捕まらなければ法律を破っても構わないという自己中心的風潮を作りやすいことである。そして、そのような社会的な絆の消失こそが、西欧近代以降の問題であり、また現代日本のさまざまな社会問題の根源ともなっている。

びっくり仰天!
■その10 エジプトの「花形満」?
花形満
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E5%BD%A2%E6%BA%80

ヘルワン市のメトロ駅某所。クラウン系の車をあやつる少年???。隣にお父ちゃん乗っているようだけど、どうみても君、14歳以上には見えないよ(汗)。

■その11 小学生!!!!
自宅近くの整備工場に一台のミニバスがとまった。
「整備頼む」。車からおり、職業人としてのプライドいっぱいにつげる、10歳〜12歳の少年。
だが!運転してきたその車には【彼】しか乗っていなかった…。

「え…?」

だれかこのなぞを解いてほしいです。。。


■その12 運転免許事情。
一応運転免許があり、自動車教習所もある。
教習所で教えるのは交通ルール。
だけど…エル・サワークスエア付近で自動車教習中っぽい車をみた…。


おまけ。

■世界で活躍するティーダ〜エジプト篇〜
http://blog.nissan.co.jp/TIIDA/2007/10/tiida_in_egypt.html

プジョー405、プリメーラとのってきた僕にとってはティーダもお気に入りの車。
コンパクトでありながら、中が広く、部屋が移動するような感覚が好き。
長距離移動メインの僕としては数百キロの走行でも安定性がすごくて疲れにくいし…。
とはいえティーダはレンタカーでしかのったことがない。。。

エジプト人口のうち約8%の人のみ、自動車を買うことができるとされています。

富裕層ターゲット、8%の市場=640万人の市場、ということか。